津田浦大決戦 古狸奇談

津田浦大決戦 古狸奇談 第二回

さて、大和屋の宅では、彼の帰りを待ち焦がれておりました。というのは…

さて、大和屋の宅では、彼の帰りを待ち焦がれておりました。、

というのは、畢竟(ひっきょう)ずる金長という者を祀ってから、
宅の稼業も非常に繁昌いたし、注文もドシドシ参ることでございまして、
これ全く金長が働きによって、人気を寄せてくれるのであろうと悦んでおります。

ところが彼、授官の一条について、昨年にわかに穴観音へ乗り出すということになりました。

その留守中は、かの金長の眷属が来って守護をいたしておりますものと見えますが、
妙なもので、彼(か)のお祀りをしてある宮のうちに、本尊がいないと思ってみると
何となく大和屋がたよりなく思いをいたす。

よって一日も早く金長が立ち帰ってくれればよいがと、待ちに待っておりまする、
ところへ、だしぬけに今日は金長が帰ったというのですから、
そこで官位を受けて帰ったのであろう、そうなれば、それ相当に金長のお祭典(まつり)をしなければならぬと、
主人は夢中にあいなって騒ぎまわりますから、
これを押しとどめましたが、
今さら大きに体裁(きまり)が悪い。

金長「イヤご主人、まずどうかお控えくださいまするよう。
この度私の帰りましたのは、なかなかさような出世をいたしたのではないのでございます。
実はご主人さまにお目見えいたし、お暇を告げ、お別れに参りましたのでございます。
もはや金長は今生(こんじょう)で再び旦那さまのお顔を拝することは、出来ぬような次第とあいなりました。
これがこの世のお別れでありまする。」

とホロリと金長の亀吉はうつむいて涙にくれました。

茂右「エエッ、何と言わっしゃる。おかしいことを言わっしゃるではないか。
それでもお前さんは官位を受けなさったのではないか。
御修行にお出でになった先方(さき)において、何か間違いでも出来たのではないか。
何で左様なことを言わっしゃる。
金長さん、容子をおっしゃい、私のような者でも及ばずながらお力になりますぞ。」

言われた時は金長はホロリとばかり涙にくれました。

金長「旦那さま、アア残念なことをいたしました。」

とさて職人の亀吉がどうも斯(か)ようなことを言いそうなことはない。
これは姿は亀吉でありまするが、現今(ただいま)でも『稲荷下げ』などというものは、随分ないことはなりません。
かの『倚台(よりだい)』というものでございまして、
亀吉はそれですから、申し出でまするのは、皆金長狸が言うのでございます。

金長「まず旦那さま、お心を鎮めてお聞きください。
私は津田の穴観音という所へ参りまして、一年このかたの修行の次第は、斯(か)よう斯(か)ようの訳合いでございまする。」

と、さてこれまでの事を詳しく大和屋茂右衛門をはじめ、家内一統の者にわかるように話をいたしました。

やはり狸仲間でも人間の修行と同じようなもので、
この金長狸があまりよく物が出来るところから、
これを穴観音に長く足を留めさせ、六右衛門の跡を継がさんとした、
まして娘の養子にまでしようというのを、
金長がそれでは当大和屋に頼まれたかどもあり、ただ官位さえ受けたれば一日も早く立ち帰りたいというので、
この度いよいよ何月何日(いついつか)には官位を授けるという大将のことばでありましたから、
自分はその次第を、つれてまいった下僕(しもべ)に申し付け、
マア当今でいえば学校のようなもので
必ずこの官位を受けたれば何月何日(いついつか)には帰る、
その時は我が眷属どもはいずれも宅で、皆祝いの支度をして待っていてくれるよう
現在その前の日に鎮守の森の己が棲家へ対して、留守居をしている者に事託(ことづけ)をいたしました。

定めて宅でも我が帰りを悦んで待っておるであろうと悦んでいた。

ところが、あに図らんや、六右衛門という奴は、自分(おのれ)の思惑が立たぬところから、
私に官位を授けて、もしか己の位階を奪(と)られるようなことにあいなってはならぬという、
畢竟ずる彼が心のねじけてあるところから
私を疑い官位を授けるどころか、我を撃取らんといたしたのであります。

それをまったく六右衛門の家来の鹿の子といえる天晴れな者があって、
我に注進をしてくれました。

それで私は召しつれてまいった鷹という者と、その夜数多押寄せ来ったところの敵方を欺いて、
現在召しつれたる家来の鷹は無念の討死をいたし、
我はかかる手傷をこうむって一方の血路を開き、ようよう命からがらこれまで立ち帰ったのでございます。

旦那さまの前には遮りますまいが、私は実に数ヶ所の手傷をこうむっております。

どうも私はこのままに棄(す)ておくという訳にはなりません。

よって旦那に今生のお暇乞いに参りました。

これから鎮守の森に帰りまして、部下の者を集め、我が家来鷹の敵(かたき)を撃ち取ってくれんという決心でございます。

あわよくば大将六右衛門をうち取るか、
但しは私が討死をいたしまするとも、
御当家さまは我が眷属のうちで確かな者に申し付けて、きっと守護いたさせますることでございます。

しかし私はもう旦那さまにお目にかかることは出来ません。

これが今生のお暇乞いでございまする。」

と、涙にくれて物語をいたしました時は、大和屋茂右衛門は大きに驚いて

茂右「イヤ、これはどうも大変なことが出来ましたな。
私も折角お前さんとご縁があればこそ、私のような宅でもこれまで守護してくだされたが、
私も今では家内一統の者に申し付けまして、十分に貴方を信仰いたしております。
これも何かの因縁でございましょう。
しかるに昨年お前さんが官位をお受けにお出でになる時に、あれだけまでにお止め申したではございませんか。
たとえお前さんは官位がなくても、金長大明神さまといって神に崇められ、かく祀ってお置き申さんと申したのに
おききいれなく、お出でになったところから、そのような間違いができました。
しかしこの度の事は我々にはわかりませんが、
お前さんのたよりとなさるその眷属が撃たれたとあらば、
お前さんもさぞかしご無念でございましょう。
それも定まる何かの因縁と諦め、穴観音へ乗込んで仕返しをするというようなことは、もうおよしなさってはどうでございます。
それより私のうちに一生おいでくだされ。
及ばずながらお前さんにどれほどの眷属があろうとも、お供えものはきっといたしまするし、それだけのお祀りをしますから、
お前さんは私のうちの商売繁盛するよう守ってください、どうぞいつのいつまでも長くここに留まってください、
金長さん、この茂右衛門からのお願い申すことでございます。」

頼む主人(あるじ)の顔を眺めた金長は

金長「アア有難うございます。
貴方さまがそのように思召すのはごもっともでございまするが、
我が家来とはいえど鷹といえる者は、これも藤樹寺(ふじのきじ)という所の森を預かりまする一方の大将でございまして、
ことに彼には小鷹熊鷹という二匹の兄弟のせがれを持ちまして、ことにその者は天晴優れたる剛の者でございます。
私が立ち帰るのを聞き、親狸(おやじ)もともに帰ってくるであろうと待っておりまするところを、
鷹が討死したとて私一匹すごすご帰りまする時は、
かの兄弟の者はヤハカこのまま棄(す)ておきましょうや。
親の敵(かたき)六右衛門狸と、きっと彼らは第一番にうち出だすことは必定でございます。
さある時はこの近辺におりまする多くの仲間狸、日頃からこの六右衛門狸を憎んでおる、
よっていずれも彼に味方をして乗り出だすこととあいなりまする。
そうなりまする時は私はいかに※因循(いんじゅん)な者でもじっとしてはいられません。
もとより鷹は我に従い、長い年月艱難(かんなん)いたして、この度討死をいたしたのも全く我を助けんがためでございまして、
たとえ他の者は助太刀をせいでも私は第一番に乗り出ださん時には、どうも狸の情が廃りまする。
まさかそんなことは言いますまいけれども、人間なら人間の情が廃るのです。
狸(たの)やんですからそうはまいりません。
それのみならず、鎮守の森におきましては、今日私が帰るというのでその帰りを待って、この近辺の仲間狸も皆集まっておりましょう。
よって宅へ引きあげましたら再び旦那さまのお目通りは叶いません。
かるが故にお忙しい中に斯く伺いましたようなことでございます。
長々お世話さまでございました。
もはやこれでお暇(いとま)をこうむりまする。」

と言うかと思えば、職人の亀吉はムクムクと起ち上がりましたが、
そのまま血相を変えて表の方へ駆け出ださんといたしまする。

驚いたのは主人(あるじ)の茂右衛門でございます。

茂右「コレ金長さん、マア待たっしゃい、まだ言うことがある、強(た)ってと言われるなれば止めはいたしません、コレ、誰か止めてくれい。」

若者「コレ亀吉、お前はぜんたいどこへ行くか。」

と他の朋輩も取り押さえようといたしまするやつを突き退け撥ね退け、
職人の亀吉は、なかなか普段と違ってえらい力を出しまして、
そのままドシドシ表へ駆け出してまいりまする。

後追っ駆けまして引き止めようといたしました時、
入口まで飛び出してまいって彼の亀吉は、
パッと足(そく)を縮めたと思いますると、
一つ上へ飛び上がりました、
それなりバッタリうち倒れまして、
ついに気を取り失うてしまいました。

若者「旦那、どうしましょう。亀吉がこんなところへ倒れてしまいました。」

茂右「アア、アア、いたしかたがない。
そんならもう金長さんは帰ってしまったのであろう。
マアともかくも亀吉を介抱してあげなさい。」

そこで朋輩の者は寄ってたかって亀吉の背中をさすったり、水を持ってきて飲ましたり、いろいろ介抱をいたしてやりました。

若者「オイ亀吉、気を確かに持たぬか、オイ、コレ。」

といいながら、背中をポンと叩きますると、
ヒョイと首を上げまして、
両眼をカッと見開いて、
亀吉は一同の顔をキョロキョロ眺めておりました。

亀吉「オヤオヤ何だい、お前方は。
おお寒、おらァ身体がだるくって仕方がない。」

若者「この野郎、生意気なことをぬかしている。
今まで言ったことは知らぬか。」

亀吉「イヤ、何にも知らない。
旦那さま、私はアノ最前から染物をしておりましたが…。」

茂右「コレ、冗談じゃァないぜ。ムウ、こっちへお入り。」

そこで亀吉をつれて入り、お前にはまったく金長が乗りうつっておったということを言い聞かせますると

亀吉「人を馬鹿にしていやァがるなァ、
また金長という奴が乗りうつっておったのか、
何でおれの身体ばかり使やァがるんだ。
何だか知りませんが旦那、滅法界(めっぽうかい)私は身体が疲れました。」

茂右「さっきからお前、非常に嘆いたりなんかして、あれだけ話をしたことが少しも分からぬか。」

亀吉「何だか分かりません。何だか夢か現(うつつ)のように心得ておりました。
ただ身体がだるくって仕方がないです。茶漬け一膳食わしてください。」

とんでもない倚台(よりだい)もあればあるものだと、他の朋輩の手輩は大笑いをいたしましたが

若者「サア金長さんの御名代(ごみょうだい)ご苦労さん、マア御飯をお上がり。」

いろいろと大騒ぎをいたしておりました。

さて主人の茂右衛門も今はいたしかたなく

茂右「アア畜生といえど金長という狸はなかなか感心な奴じゃ。
さてはこれから鎮守の森というところへ帰って狸合戦(たぬきいくさ)をするのであるか、えらいことだ。」

と思いましたが、
自分は早速家内の者にいいつけまして、まず裏に祀ってあるお宮でございます、
そのお宮へ向けて種々様々の供え物をいたしまして、お燈明などを点(あ)げ、
これへ来たって一心に念じまして

茂右「どうぞ金長さん、お前さんは一旦は押出しなさろうとも、首尾好(よ)う帰り、どうぞ再びうちへ戻って来てください。
私のうちをお守り下さい。商売繁盛守らしめたまえ、金長大明神。」

と、主人(あるじ)の茂右衛門は一心に拝んでおりまする。

何しろ家内から奉公人に至るまで物珍しゅう思いまして、
夕景の頃おいから様々の供えものをして祀っておりましたが、
さて皆々食事が終わりますると

若者「旦那。」

茂右「何じゃ。」

若者「狸の合戦(いくさ)とは妙ですな。」

茂右「サア、どうせい今頃はかの鎮守の森へ集まった多くの狸が、津田というところへ押し出すことであろう。」

若者「それでは狸の軍勢が繰り出すのですか。」

茂右「そうだろう。」

若者「なんと旦那、見に行こうじゃありませんか。」

茂右「ムウ、よかろう。」

そこでまず当家は無論、家内の者をはじめとして近所の者もまたこの事を聞き伝えて、物珍しく思いまするところから、
その晩わざわざこの日開野の村外れに鎮守の森という所がございまする、
これへ乗込んできて容子を見ますると、
なかなか人間の目には狸が勢揃いをしているとは見えませんが、
何だか森のうちは余程こう騒がしい容子でございます。

この森のうちに数多の狸が集まっているというのでございます。

誰一人として気味が悪いものであるからよう入りません。

ただ遠くから森のうちを透かして眺めますると、時々怪しい火の燃えるのが見えます。

なんだか、こう大勢が騒いでいる有様、
これから同勢が押し出だすというような具合でございます。

さて、その翌日とあいなりますると、総てこの森の境内には多くの狸の足形がついてございます。

これは全くここで勢揃いをいたして押し出したのでございまするが、
現在(いま)でも彼の地へ参りますると、在下(ところ)の老人はこの噂をされております。

これは畢竟(ひっきょう)ずる人間がその場の有様を見たという噂だけのことでございます。

さてお話がもとに戻りまして、
此方(こなた)は日開野金長狸は、大和屋の主人の止めるをもききいれず、そのまま表の方へ飛び出だしまして、
おのれの古巣なる日開野の鎮守の森をさして、飛んで帰るということにあいなりました。

ところがさてこの日開野の森の金長の古巣でございます。

これはかねて前もって金長の方から使いがあったものと見えまして、
穴観音において長らくの間修行をいたしたるところ
いよいよこの度六右衛門狸より官位を授かり、何月何日(いついつか)に立ち帰ると
いう前からの知らせがありましたので、
その当日はさきに出立の際、祝してくれたる者、
または我が部下をはじめとして、近傍の者へも
この事を知らしておいてよかろうという指図でありますから、
眷属どもは大きに悦びまして、
早速この事を知らしてやるということになりまして、
まず第一番にこの鎮守の森を預かっておりましたのは、
これは金長と兄弟同様にこれまで懇意にいたしておりましたものと見えて、高須の隠元という狸、
これは金長の留守を預かっておったのでございます。

また火の玉という狸、これも来たって留守中を守っております。

この二匹の者は大きに悦びまして

「マアマア目出度い、いよいよ金長が帰って来れば、その当日は派手に出迎えをしよう。」

というようなことで、マア第一に日頃交際をいたしまする仲間狸にもこの事を知らせ、
彼が戻ってまいったら領分境まで迎えの者を出して、
第一に棲家の前には大きな緑門(アーチ)を設け、
万歳を祝さんというので、
旗などこしらえ、提灯を釣りまして、歓迎をする、
人間の当今のさまであればそうでございまするが、
そんな事をしたかどうか、それは伯龍(わたくし)は存じませんが、
しかし今度日開野の金長が出世をして帰るというので、仲間狸に通知があったのであるから、
第一番にこの通知を聞いて悦んだのは、かの藤の樹寺に棲居(すまい)をいたしおりまする鷹のせがれ兄弟でございます。

この小鷹、熊鷹という二匹、さては金長さんがお帰りにあいなると、
それではお父さまも定めて同道して帰るであろうと、
第一に悦んで鎮守の森に集まって参る。

または地獄橋の衛門三郎、あるいは松の木のお山、天神橋の金の鶏というような連中が、
おいおい集まって参るのでございます。

中にもこの度の通知(しらせ)を受けまして

「それは目出度い、彼の帰りを祝してやろう。」

と、田の浦の太左衛門という古狸がやって参りました。

この狸は今、南方においてチョッと総大将をやっておりまする、これは官位のありまする古狸で、
よって六右衛門狸を除く外に、南方の者はこの田の浦の太左衛門という者をもって、自分たちの頭(かしら)に置いております。

それがわざわざ鎮守の森へやって参りましたものであるから

小狸「エエ申し上げます。」

隠元「何じゃ。」

小狸「ただ今、田の浦の太左衛門さまがお出でになりました。」

隠元「ナニッ、さては田の浦の兄貴がみえたのか、それはどうも有難いことである。」

と、高須の隠元をはじめとして、いずれものめいめい、それへ出迎えをいたしました、
ところへ悠々とやって参りましたが、歳はとってもなかなか古狸の剛者(つわもの)でございます。

隠元「イヤ、これはこれは、田の浦の兄貴か、よくお出でくだされました、サアどうぞこちらへお通りの程を願います。」

と正座(しょうざ)に案内をいたしました。

太左「アア皆さん、ごめんなさいよ、わしも今度の※回章(かいしょう)を見て、あまり目出度いことでありますから、
我々もマア金長どのが無事に出世をさっしゃって、今宵帰られるということを聞いて、お悦びに来たようなことであります。
で何か、まだお帰りはないのか。」

隠元「ハイ迎えの者を領分境まで出してございまするが、まだ一向姿が見えませんのでございます。
しかし、もうそうこうするうちに立ち帰って来る時分であろうと心得ます。」

太左「左様か、それでは迎えに出してあるのか。」

隠元「ヘイヘイ、それは十分出してございます。
何とかそのうちに容子が分かるでございましょう。
しかしマアどうぞ、あちらへお進みを願いたい。」

と、おもだった者は皆集まって話をしておりまするところへ、一匹の豆狸がチョコチョコとやって参って

豆狸「ハハッ、申し上げます。」

隠元「何じゃ、何事である。」

豆狸「恐れながらただ今御大将金長公、ただ一匹お立ち帰りでございます。」

いずれもこれを承りまして、大きに不思議に思いまして

隠元「何ぞや、金長がただ一匹立ち帰った、大変それは妙だ。
もとより迎えの者を出してあるが、どこでどういう行き違いであったのか。
ソレ出迎えに及べッ。」

というので、いずれも出迎えをいたし、その座を起たんといたした時、
当鎮守の森の主狸(あるじ)の金長は、なにぶんこの度の戦いに余程手傷を受けまして、
その身はすごすごと色青ざめ、ようようのことにこの席へ進んで参りました時、
皆々金長の顔色を見まして驚いて

隠元「これは怪(け)しからぬ金長どの、御身はひとり、どうなさったのである。
数多迎えの者を出してありまするが、それらの者にはお会いなさらぬのでありましたか。」

金長の顔色を見て、皆々不思議に思っておりまする。

物をも言わず一統の者に目礼をして、悠々と我が設けの席へつきまして、ホッと一息つきましたが、
ここに金長いかなることを申し出でまするや、
チョッと一息いれまして次回に。

※因循(いんじゅん)…ぐずぐずしていること。
※回章(かいしょう)…回状のこと。

津田浦大決戦 古狸奇談 第三回へ続く

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